相続放棄の流れ~裁判所の手続~

相続放棄をすることが決まったら、家庭裁判所に相続放棄申述書を提出します。
今回は、相続放棄手続きのおおまかな流れについてお話します。

1. 相続放棄申述書の作成準備をする
2. 家庭裁判所に申述書を提出する
3. 裁判所から照会書・回答書が届く
4. 相続放棄申述受理通知書の交付
5. 相続放棄申述受理証明書の発行申請をする
6. まとめ

⒈ 相続放棄申述書の作成準備をする

相続放棄をするためには、家庭裁判所に申述書を提出しなければなりません。申述書の書式は、裁判所のホームページ上にひな型が掲載されていますので(令和元年10月17日時点)、裁判所ひな型をベースに作成すると作りやすいと思います。

申述書に必要事項の記入と、添付資料、費用を添えて、管轄の家庭裁判所(被相続人の最後の住所地を管轄とする家庭裁判所)に提出します。

◆必要書類(共通で必要となるもの)

  • 相続放棄申述書1部
  • 被相続人の住民票除票又は戸籍附票(いずれか1つ)
  • 申述人(相続放棄する人)の戸籍謄本
  • 収入印紙 800円(申述人1人あたり)
  • 郵便切手 ※裁判所によって費用が異なりますので、申述書を提出する家庭裁判所に事前に問い合わせのうえご準備ください。

上記戸籍に加え、申述人と被相続人の関係性によって、以下の戸籍も提出が必要になります。

【放棄する人が被相続人の配偶者のとき】
・被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

【放棄する人が被相続人の子又はその代襲者(孫,ひ孫等・第一順位)のとき】
・被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
・申述人が代襲相続人(孫,ひ孫等)の場合,被代襲者(本来の相続人)の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

【放棄する人が被相続人の父母・祖父母等(直系尊属・第二順位)のとき】
・被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
・被相続人の子(及びその代襲者)で死亡している方がいる場合,その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
・被相続人の直系尊属に死亡している方がいる場合(ただし相続人より下の代の直系尊属に限られ、例として相続人が祖父母の場合は,父母),その直系尊属(父母)の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

【放棄する人が被相続人の兄弟姉妹及びその代襲者(第三順位)のとき】
・被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
・ 被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
・被相続人の子(及びその代襲者)で死亡している方がいる場合,その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
・申述人が代襲相続人(おい,めい)の場合,被代襲者(本来の相続人)の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

被相続人と申述人の続柄によって必要となる戸籍の範囲が異なります。家庭裁判所のホームページで必要な戸籍を確認するか、申述書を提出する家庭裁判所に問い合わせしてみると良いでしょう。

2. 家庭裁判所に申述書を提出する

相続の開始があったことを知った日から3ヶ月以内に、管轄の家庭裁判所に申述書を提出します。
郵送の場合は期限内に書類が必着するように発送しましょう。

3. 裁判所から照会書・回答書が届く

申述書を提出してから2週間~1か月前後※で、裁判所から申述人宛に「照会書」が届きます。これは、申述書の審理を行うにあたり、申述人の意向や事情等を確認するためのものです。

申述書が提出されたけれども、本当に申述人は相続放棄をする意向で間違いがないか、内容に問題がないかを確認します。照会書の必要事項を記入して、指定された期限内に裁判所に返送しましょう。

(※裁判所から照会書が届くまでの目安の期間です。管轄の裁判所や内容・時期によって届くまでにかかる時間は変動する可能性があります。)

4. 相続放棄申述受理通知書の交付

申述人からの照会書の返送をもって、裁判所から「相続放棄申述受理通知書」が申述人宛に交付されます。これは申述書が受理されたことの証明書です。

5. 相続放棄申述受理証明書の発行申請をする

相続放棄申述受理証明書とは、こちらも相続放棄の申述が裁判所にて受理されたことの証明書です。必要に応じて(※)交付申請をしておきましょう。

所定の用紙(家庭裁判所HPに申請書書式が載っている場合があります。)に必要事項(事件番号や申請人の署名など)を記入のうえ、証明書1通当たり収入印紙150円分を添えて、提出します。

郵送で申請する場合には、上記に加えて切手を貼った返信用封筒の用意を、家庭裁判所に来庁し窓口で申請手続きする場合は、身分証明証、相続放棄申述受理通知書を提示します。

※「必要に応じて」とは…
相続放棄をした事は債権者等に裁判所から通知されるものではないため、相続放棄の手続きが無事完了していても、被相続人の債権者から支払いの督促をされてしまうこともあります。
そのような場合、相続放棄を行ったことを債権者に説明(証明)する必要があります。多くの金融機関を含む債権者は、相続放棄申述受理通知書のコピーを送付することで納得してくれますが、中には通知書のコピーではなく、証明書を取得し提出するよう求められるケースがありますので、そのような場合には、相続放棄申述受理証明書が必要となります。
また、相続放棄申述受理通知書については、紛失や毀損した場合に再発行をしてもらうことはできません。相続放棄申述受理証明書は、裁判所に申請をすることで何回でも発行してもらうことができるため、相続放棄について説明(証明)しなければならないけれども手元に通知書がないという場合は、相続放棄申述受理証明書を発行してもらうようにしましょう。
債権者以外の関係では、不動産の登記手続きで、相続放棄申述受理証明書の原本の提出が必要となる場合もあります。相続放棄の申述をしたご自身としては必要ではないものの、他の相続人の方が相続放棄申述受理証明書を必要とされる場合もありますので、事前に用意をしておいた方が好ましい場合もあるでしょう。

6. まとめ

以上が相続放棄手続きのおおまかな流れになります。

一般的には、相続放棄については、ご自身で行うことも十分可能な手続きですが、3ヶ月という限られた期間内で戸籍等の取り寄せや申述書の作成・提出が必要となるため、時間に余裕がない方や手続に不安がある方は弁護士など専門家に相談してみても良いでしょう。

弁護士 前田 悠介(東京リーガルパートナーズ法律事務所)

投稿者プロフィール

東京弁護士会所属。東京リーガルパートナーズ法律事務所代表。
【略歴】
都内大手法律事務所での勤務を通じ、多くの企業顧問業務を担当。その他にも、相続、離婚、消費者問題等の個人の代理人業務、刑事事件の弁護人業務まで幅広く経験を積む。
その後、電子書籍販売サイトを運営するIT系ベンチャー企業に勤務し、電子配信ビジネスにおける法務全般に関わりつつ、ライセンサーとの契約締結交渉を行う。また、法律事務所に所属して以降は、大規模組織での非常勤職員としての業務を開始する。
これまでの経験を生かし、顧客へさまざまな角度から情報を提供できる事務所を目指し、2015年に東京リーガルパートナーズ法律事務所を設立。
【事務所情報】
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