戸籍・住民票(除票)のとりよせ方

相続の手続きを進めるにあたっては、被相続人の死亡の確認や相続人を確定する目的で
戸籍を集めたり住民票(除票)のとりよせをしなければなりません。

今回は、主に相続手続きにおける戸籍や住民票(除票)のとりよせ方についてご説明します。

1. 戸籍をとりよせる

戸籍は、本籍を置いている市区町村役場でとりよせすることができます。
戸籍には氏名や性別、生年月日、両親との続柄など親族に関する記録、いつ誰と婚姻をし、いつ死亡したのか等、個人の出生から死亡までが記録されています。

戸籍が管理されている場所が本籍地であり、市区町村単位で管理します。
基本的に戸籍は両親と未婚の子で構成されており、出生後に引越や結婚等の際に本籍の変更をしていない場合は、出生地に本籍を置いていることが多いでしょう。

申請ができる人は、本人または同じ戸籍上に記載されている人、直系尊属(父母や祖父母)・直系卑属(子や孫)、本人から委任を受けた代理人や、相続手続きで請求者の相続人となる方等です。

戸籍の交付申請手続きは、直接役所の窓口に行くか、申請書を郵送する方法で行うことが可能です。

●窓口で申請する場合

役所に備え付けの申請書を記入し提出します。
申請の際には、本人確認書類の提示を求められますので、運転免許証・パスポート等の写真付きの身分証をもって行きましょう。
顔写真がない身分証(各種健康保険証、国民年金手帳等)は本人確認書類2点以上の提示が必要です。

●郵送による申請の場合

請求先の市区町村役場ホームページに掲載されている専用の申請書を印刷して、申請者の名前・住所・誰の戸籍がほしいのか等必要事項を記入し、必要な通数分の定額小為替と、切手を貼った返信用封筒、本人確認書類の写しを同封のうえ、役所に送ります。

●費用はいくらかかる?

戸籍の手数料は全国一律で、戸籍謄本が1通450円※、除籍・改製原戸籍謄本が1通750円※です。
郵送による請求の場合は、必要費用分の定額小為替を同封して送ります。
定額小為替は郵便局窓口にて購入可能です。

(※小為替の券面1枚の購入あたり100円の手数料がかかります。450円の小為替を購入するには450円+手数料100円で550円の支払いになります。)

●どこの市区町村役場で戸籍をとりよせたらいいの?

戸籍は、本籍を置いている市区町村で、その市区町村に本籍を置いていた期間のものしか発行できません。
たとえば、A市で出生し、その後結婚や引越により本籍をB市に転籍(変更)している場合、引越・結婚前までの戸籍は出生したA市役所に、引越・結婚後の戸籍は引越先のB市の市役所に、それぞれ請求する必要があります。

本籍の異動がある場合には、その異動の記録(A市からB市への転籍)も戸籍の中に記載されますので、前はどこに本籍を置いていて、またその後どこの本籍に変更(転籍)したのかを戸籍の中で確認することができます。

本籍地は、住民登録地と同一とは限りません。

もしも本籍がどこなのかわからない場合は、住民票を取り寄せることで現在の本籍を確認することができます。住民票の取り寄せは、続く「2. 住民票・除票の取り寄せ」にて説明します。

2. 住民票(除票)をとりよせる

住民票は住民登録をしている市区町村役場で発行できます。
住民の氏名や生年月日、住所等を記録したもので、住所が定められた年月日の記載や、他の市区町村から引越(転居)してきた場合にはどこから転居してきたのか等、転入前の住所も確認できます。
希望を出すことで、本籍も記載されている住民票を発行することができますので、本籍がわからないときには住民票をとりよせて確認することができます。

●住民票の除票とは?

住民票の「除票」とは、住民登録をしていた方が他の市区町村へ引越をしたり、あるいは死亡により、既に住民登録が抹消された(除かれた)住民票のことを「住民票の除票」といいます。
住民票の除票では、氏名や生年月日等に加え、引越(転出)先の住所とその異動日を、亡くなった場合には死亡年月日が記載されます。
除票の保管には期限があり、住民登録が削除された日から5年間を経過すると発行することができません。

交付申請ができる人は、本人、本人と同一世帯の方、本人から委任を受けた代理人や相続手続きで請求者の相続人となる方等です。

住民票及び除票の交付申請手続きについても、戸籍と同様に、役所の窓口での発行と、申請書を郵送する方法のいずれも可能です。

●窓口で申請する場合

窓口に備え付けの用紙を記入し提出いたします。申請者の本人確認書類の提示を求められますので、忘れずに原本を持参しましょう。

●郵送による申請の場合

戸籍のとりよせ時と同様、役所ホームページ内の専用の申請書を印刷して記入し、必要な通数分の定額小為替と、切手を貼った返信用封筒、本人確認書類の写しを同封のうえ、役所に送ります。

●費用はいくらかかる?

住民票(除票)の発行手数料は市区町村によって異なりますが、おおよそ200円~400円前後のところがほとんどでしょう。

3.本人以外、代理人による申請をするとき

申請者が、上記1・2で記載した申請ができる人(本人や同戸籍・住民票上に記載されている人等)以外である場合は、一般的には本人に署名をしてもらった委任状を用意して申請をします。
代理人自身の本人確認書類(免許証やパスポートなど写真入りの証明書1点か、顔写真がない身分証(各種健康保険証、国民年金手帳等2点以上)も必要です。

相続手続きの目的で、被相続人に関する戸籍・住民票除票をとりよせしたい場合、被相続人とご自身の関係性を証明するもの、つまり法定相続人※であることが証明できる戸籍を持参し、とりよせする権限があることを証明します。
どの戸籍をもって証明をすべきかについては、請求の目的と被相続人との関係性を伝えたうえで、申請先の市区町村役場に確認しましょう。

(※法定相続人については、本ホームページの記事「法定相続人は誰?」をご参照ください。)

***最後に***

相続手続きでは、共通して、被相続人の出生から死亡まで全ての戸籍をそろえる必要があります。
それは、被相続人の婚姻の記録や子の出生記録、養子縁組がないかなどの記録を追うことで、誰に相続権があるのかを調査し確認するためです。

戸籍の収集をはじめる際には、まず
「相続手続きのために戸籍が必要であること」
「被相続人の出生から死亡までの戸籍が欲しい」
という目的を役所の方に伝えることで、その役所で該当する戸籍をまとめて発行してくれることが多いですので、あらかじめ請求の目的は明確に伝えて、申請をしましょう。

弁護士 前田 悠介(東京リーガルパートナーズ法律事務所)

投稿者プロフィール

東京弁護士会所属。東京リーガルパートナーズ法律事務所代表。
【略歴】
都内大手法律事務所での勤務を通じ、多くの企業顧問業務を担当。その他にも、相続、離婚、消費者問題等の個人の代理人業務、刑事事件の弁護人業務まで幅広く経験を積む。
その後、電子書籍販売サイトを運営するIT系ベンチャー企業に勤務し、電子配信ビジネスにおける法務全般に関わりつつ、ライセンサーとの契約締結交渉を行う。また、法律事務所に所属して以降は、大規模組織での非常勤職員としての業務を開始する。
これまでの経験を生かし、顧客へさまざまな角度から情報を提供できる事務所を目指し、2015年に東京リーガルパートナーズ法律事務所を設立。
【事務所情報】
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