遺言書の検認~遺言書を見つけたら~
- 2020/3/16
- 遺言書
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遺言書(公正証書による遺言書を除く)を発見したら、
封印のあるものは開封しないまま、遅延なく家庭裁判所に
「検認の申立」をしましょう。
この手続きは、遺言書の偽造や変造を防ぐために行うもので、
この手続きを経た遺言書でなければ遺言の内容を執行することができません。
申立後に裁判所から指定される「検認期日」において、
家庭裁判所にて相続人同席のもと、遺言書の形状、日付や内容を確認し、
確定させます。
まずは検認申立の手続きと流れについて説明します。
~検認申立手続~
申立書の提出先 :遺言者の最後の住所地を管轄とする家庭裁判所
申立ができる人 :遺言書の保管者、遺言書を発見した相続人
必要書類(共通):遺言書写し(遺言書が開封されている場合)
相続人全員の現在戸籍
遺言者の出生から死亡までの全ての戸籍
その他に準備が必要な戸籍については遺言者と相続人の関係性により異なりますので、裁判所に、遺言者との関係性を伝えたうえで、上記以外にそろえなければならない戸籍を確認しましょう。
(裁判所窓口に相談するか、電話での問い合わせも可能です。)
申立に必要な費用:収入印紙800円分(遺言書一通につき)
郵便切手
※家庭裁判所により費用が異なりますので
申立先の家庭裁判所にお問い合わせください。
~申立の流れ~
1 申立書の作成・必要な書類をそろえる
申立書と一緒に提出しなければならない戸籍をとりよせし、申立費用となる収入印紙・郵便切手を購入します。申立書は、裁判所のホームページに雛型が掲載されていますので、そちらを利用すると作成しやすいです。
2 申立書を提出する
遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申立書を提出します。
裁判所に直接持参するか、郵送で提出することも可能です。
3 検認期日の決定と通知
申立後約1~2週間で、裁判所から申立人宛に、検認期日をいつにするか、調整のための連絡があり、検認期日を決定します。
裁判所の手続きの進行具合にもよりますが、申立書の提出から1か月半前後のところで検認期日が指定されます。
期日が決定すると、裁判所から全相続人宛に「検認期日通知書(検認を行う日の通知)」が郵送されます。
申立人は必ず検認期日に出席しなければいけませんが、その他の相続人の出席は任意であるため、相続人全員がそろわなくても検認期日は実施されます。
4 検認期日当日
裁判所と(出席した)相続人の立会いのもと、遺言書を開封し、遺言書を検認します。
期日で確認した内容は「検認調書」に記録されます。
5 検認済証明書の申請をする
遺言書に書かれた内容を執行するには、遺言書に「検認済証明書」という証明書が添付されていなければ実行ができません。
検認済証明書は検認申立をした家庭裁判所に申請をして交付してもらえる証明書です。
裁判所所定の申請書に必要事項を記入し、遺言書1通あたり150円の収入印紙を貼って、検認申立をした家庭裁判所に提出します。
申請書の書式も裁判所のホームページにてダウンロードできます。
6 検認済証明書付の遺言書を返還してもらう
以上で検認の手続きは終了し、ようやく遺言書の内容に基づいて
遺産相続(名義の変更や預金の払出し等)を行うことができます。
銀行や保険会社など相続手続きをする機関によっては、
「検認調書(※検認期日で確認した内容を記録したもの)」
の提示も求められる場合があります。
検認調書も裁判所に申請をすることで交付してもらえます。
費用は申立をした裁判所に問い合わせをしたうえで、
申請書に添えて提出します。
申請書は検認済証明書の申請時と同じ用紙で、
裁判所のホームページにてダウンロードできます。
検認申立から手続きの終了までは、おおよそ2ヶ月かかります。
申立に具体的な期限は設けられておらず、遺言書を発見したら「遅延なく」とされていますが、遺言書を見つけたらできるだけすぐに検認申立の手続きを進めましょう。